長野中央病院における大腸癌手術の現状

長野中央病院 外科 医師 和城 光庸

腹腔鏡手術が飛躍的に進歩

近年の外科手術の発展は目覚ましく、特に腹腔鏡手術は飛躍的に進歩しています。一昔前の大腸癌手術は、おなかを大きく切って人工肛門を作るようなイメージでしたが、現在ではいかに創を小さく、かつ、いかに永久人工肛門を作ることを避けるかが重視されています。

診断と腹腔鏡による治療

診断と治療の流れは、検診で便潜血反応が陽性であったり、便通異常があった場合、大腸ファイバーを行います。

大腸ファイバーで切除するには腫瘍が大きいときは、外科手術になります。

当院では手術適応症例のうち95%以上を腹腔鏡で行っています。現在まで5年間で230症例を手術し、手術死亡は0%(0例)と良好な成績です。

具体的には、手術2日前に入院していただき、全身麻酔下で体幹に4~5箇所穴をあけ、細長い手術器具やカメラを腹腔内に挿入して手術をします。モニターに映し出された映像を複数 の外科医で確認しながら行います。カメラは高精度で、細かいところまで拡大できます。このため開腹手術にくらべ、より深いところまで丁寧に切除できるようになりました。

加えて手術創が小さく、痛みが少ないため、入院期間も短く10日前後です。ご高齢の方にも受けていただいており、最高齢は97歳です。術後もお元気に通院されています。また、直腸癌で病変が肛門に近くても、腹腔鏡で骨盤を直接観察して切除できるので、永久人工肛門となることが少なくなりました。

早期発見と治療が重要

下血などの腹部症状があった場合は早めに受診してください。進行していても化学療法で病変を小さくして切除することができます。化学療法も昔より副作用が軽くなっています。種類もたくさんあるため、体に合ったものを選択できます。恐ろしいものではありません。

2018年の癌統計の部位別死亡数で、男性は肺(24.0%)、胃(13.2%)に次いで大腸(12.4%)の順となっています。女性では大腸(15.2%)が1位です。男女計でも肺に次いで大腸は2位です。早期癌であれば90%以上の5年生存率が見込める、治療法がほぼ確立した疾病であり、早期発見、早期治療が特に重要です。

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