インフルエンザの予防接種を受けましょう

長野中央病院 総合診療科 医師 池田 徹

毎年受けていた、いないにかかわらず今年は予防接種を受けましょう

毎年冬になるとインフルエンザが流行します。例年11月~3月に流行し、学級閉鎖などを経験された方も多いのではないでしょうか。しかし、昨シーズンは新型コロナウイルス感染の拡大があり、多くの人がその対策をとったためか、例年ほどの流行には至りませんでした。また、新型コロナウイルス感染を心配され、毎年インフルエンザの予防接種を受けていたけど、今年は医療機関に行くのをためらっている方もいるかもしれません。

しかし、新型コロナウイルスの感染が未だ収束していない今だからこそ、これまでは受けてこなかった方も含め、今年はインフルエンザの予防接種を受けましょう。

こう呼びかける理由は大きく二つあります。

一つは皆さん自身の身を守るため、もう一つは医療崩壊を防ぐためです。

皆さん自身の重症化を防ぐために

インフルエンザは感染力が非常に強く、抵抗力の弱い高齢者や乳幼児は感染しやすく重症化しやすい特徴があります。

新型コロナウイルスと同じく、インフルエンザもマスクや手指消毒が大切な予防策ですが、ワクチンは感染予防とともに、感染したとしても重症化の予防につながります。また、まだ十分なデータがないので推測ではありますが、インフルエンザと新型コロナウイルスに同時感染してしまうことで重症化してしまう可能性があります。

同時流行からの医療崩壊を防ぐために

一方で、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、症状や経過からは区別できません。そのため、インフルエンザの検査をするにもこれまでのようにはいかず、医療者側も感染防護具を着用しなければならず、検査にかかる労力の大きさや感染防護具の不足から対応しきれなくなる可能性があります。

そのため、私も外来ではこれまで予防接種を受けてこなかった患者さんに対しても「今年からは予防接種を受けてください」とお願いしています。皆さんのご協力をお願いします。

今シーズンは、以上のような事情からインフルエンザの検査も制限し、症状や流行状況などからインフルエンザの診断をしなければならなくなると思われます。ご協力をお願いします。

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