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こまめな水分補給で脱水症対策を

初夏に向かうこの時期は、まだ体が暑さに慣れていないため、脱水や熱中症のリスクが見過ごされがちです。特に高齢の方は注意が必要です。

長野中央病院・内科 医師 寺島 慶太

自立高齢者でも半数以上が脱水状態!?

高齢者は加齢により、喉の渇きを感じにくくなる傾向があります。実際に長野県飯田市近郊で行われた調査では、自立して生活している高齢者(平均年齢75.9歳)のうち約58.7%が「口の中が乾燥」状態、すなわち脱水気味にあることが報告されています。

このような状態では、身体が水分を欲していても自覚しにくく、水分補給のタイミングを逃してしまうことがあります。脱水が進行すると、頭痛や倦怠感、めまい、最悪の場合は脳梗塞などの重篤な症状を引き起こすこともあるため、早めの対策が重要です。

自分なりの水分補給タイミングを

脱水を防ぐためには、喉が渇く前にこまめに水分を摂る習慣をつけましょう。起床後、食事の前後、入浴前後、就寝前など、生活の中で水分補給のタイミングを決めておくと忘れにくくなります。水や麦茶、経口補水液、薄めたスポーツドリンクなどが効果的です。

コーヒー、緑茶のカフェインに注意

一方で、注意が必要なのが、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインです。カフェインには利尿作用があり、水分補給のつもりで飲んでも、かえって体内の水分を失ってしまうことがあります。

とくに日常的な水分補給では、カフェインを含まない飲料を選ぶようにし、コーヒーやお茶を飲む回数を意識的に減らすことをおすすめします。

水分補給の習慣見直しで脱水、熱中症予防を

「トイレが近くなるから」と水分を控える方も少なくありませんが、それがかえって体調を崩す原因となります。とくに高血圧や糖尿病、心疾患などの慢性疾患がある方は、体内の水分バランスが崩れることで病状が悪化することもありますので、かかりつけの医師や薬剤師と相談のうえで、適切な水分補給を行ってください。

夏に向けて暑さが本格化する前に、水分補給の習慣を見直すことは、健康を守る第一歩です。脱水や熱中症は予防が何より大切です。ぜひこの機会に、日々の生活に「こまめな水分補給」を取り入れていきましょう。

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