腎臓の病気について

長野中央病院 腎・代謝・内分泌科 医師 中山 一孝

慢性腎臓病(CKD)とは

腎臓は、ほかの多くの臓器がそうであるように、わたしたちが眠っている間にも24時間休むことなく働き続けています。

血液中の老廃物を尿として排泄するほかに、血圧を調整したり、貧血にならないように造血ホルモンを産生したり、ビタミンを活性化して骨を丈夫に保っています。

こうした腎臓の機能が、病気や生活習慣の影響により徐々に損なわれていく、それが慢性腎臓病(CKD)です。

慢性腎臓病と他の病気との関係

現在、日本でCKDをきたす代表的な病気の第1位は糖尿病です。

糖尿病の合併症として尿に蛋白が出始めた場合、CKDの進行を示す大きな手掛かりと考えます。

続いて、原因不明の炎症が腎臓に生じる慢性糸球体腎炎や、高血圧症・動脈硬化・高齢にともなう腎硬化症といった病気が続きます。

CKDは血液検査でわかる腎臓機能と尿検査の成績から、進行度によって5つのステージに分類されています。

進行速度は年齢や、元にある病気の種類によって異なりますが、ステージ3を過ぎてしまうと後戻りはむずかしく、病気の進行を遅らせるための治療が重要度を増していきます。

いずれの病態でも、自分の腎臓病のステージを把握したうえで、元にある病気をしっかりと管理治療することが大切です。

腎臓機能を悪化させる生活習慣

不健全な生活習慣、たとえば肥満の元凶となる食習慣や運動不足、喫煙等々は、糖尿病、脂質(コレステロール)の異常症、心臓病、脳卒中、高尿酸血症(痛風)などいわゆる生活習慣病を引き起こします。

これらはCKDとも深く関わり合っています。

さまざまな研究から、成人病の予備軍として知られるメタボリック症候群の患者さんの中に、すでに初期の腎臓病状態にある患者さんが少なからずいることもわかってきました。

腎臓を守るために

初期はほとんど自覚症状がないために、自分でも気付かないうちに進行してしまうことも多いCKD。

普段は病院に通院するご病気をお持ちでない方も、定期的な健康診断(血液検査・尿検査)をうけることや、適正な体重の管理、規則正しい生活習慣を保つことがCKDの早期発見・進行の予防の上でとても重要な意味を持っています。

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