新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました

新型コロナウイルスワクチン接種が始まりました。まず医療従事者、次いで高齢者や持病のある人、その後一般の人へと順次進んでいく予定です。テレビや新聞、インターネットでワクチンに関する情報を見聞きしているかもしれませ んが、ここで簡単にまとめてみましょう。

長野中央病院内科 医師 永瀬 裕一朗

どんなワクチン?

mRNAワクチンという種類で、新型コロナウイルスの情報を体に覚えてもらうことで、免疫を発揮します。このとき人間の遺伝子にウイルスの情報が入り込むことはありません。

有効率は95%というすばらしい数字で、インフルエンザワクチンの有効率60%弱と比べても非常に高い効果が期待されます。「有効率95%」を言い換えると、「発症リスクが20分の1になる」ということです。もちろん重症化も防ぎます。

21日の間をあけて2回接種が必要です。筋肉注射ですが、これは皮下注射よりも安全な方法です。

副反応は?

接種部位の痛みが70%前後と多く、頭痛やだるさが約半数、発熱や寒気が4人に1人くらいの割合で見られます。

アナフィラキシー(アレルギー反応のこと)が20万人に1人の割合で報告されており、他のワクチンの100万人に1人という数字と比べると高く見えますが、抗生物質の一つであるペニシリンに対するアナフィラキシーは、5000人に1人の頻度で起こります。なおアナフィラキシーが起こった人は、これまでになんらかのアレルギーを持っている人が多く、また全員、命に関わることはありませんでした。接種後になんらかの病気で亡くなったという報告もありますが、ワクチンとの因果関係はないだろうと言われています。

不安をあおるような報道・記事が多い印象のため、冷静に考えられるとよいですね。

誰が接種できますか?

2021年3月15日時点では、16歳未満の若年者は対象外で、妊娠12週までの妊婦は避ける方がよいとされています。13週以上の妊婦および授乳婦は、おおむね問題ないと考えられています。それ以外の方は、接種が推奨されています。

必ず接種をしなければならないという「義務」はありません。では私は?と聞かれたら「打ちます」と即答します。コロナにかかって時間・体力を失うデメリットと、ワクチンのメリット・デメリットを今のうちによく考えておきましょう。

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