親元から巣立つみなさんへ
医療機関を自力で利用できるようになりましょう

この春、進学や就職で親元を離れ一人で生活を始める人、また送り出すご家族もおいででしょう。今回はそのような若者に「自分一人で医療機関を利用できるようになるためのアドバイス」をいたします。お役にたつことを願っています。

長野中央病院 院長・小児科 医師 番場 誉

医療をうけるには保険証が必要です

日本は「国民皆保険(こくみんかいほけん)」といって、すべての国民が必要な時に金銭的な負担少なく医療が受けられます。ワクチンや健康診断など病気の治療以外の場合を除き、体調が悪くて医療機関にかかるときは、必ず保険証を持っていきましょう。そうでないと100%の医療費を払わなければなりません。かぜの診療でも何千円にもなりますから保険証は忘れずに。

大きな病院はだいたい紹介状が必要です

診療所やクリニックは紹介状がなく受診できますが、入院や手術をするような大きな病院では紹介状がないと何千円も余計にお金を支払う必要があります。はじめから大きな病院にかかれないこともありますから、まずは身近な診療所やクリニックを、最初の相談で利用できるかかりつけとしてもつとよいでしょう。

自分で症状をうまく説明できるようになりましょう

これからは親があなたに代わって症状を説明してくれません。いつから、どのようになっていて、なにを相談したいのか、あらかじめ症状を整理し、準備して受診しましょう。

具合が悪くて急にかかった医療機関では、話をちゃんと聞いてくれなかったり、相性が合わない医者に出会うかもしれません。まずはワクチンや風邪などでかかり、どんな医者か、どんなクリニックかを感じておくのは重要です。気軽な利用をむしろ医者選びのチャンスと考えてもよいでしょう。

母子手帳を親からゆずり受けましょう

母子手帳には、これまで受けた予防接種などの情報が書き込まれています。自分が海外に行くことになったり、親になったときなど、過去に受けた予防接種の情報が必要になる場面がしばしばあります。母子手帳はそのようなときの証明になる唯一の正式な記録です。親に保管してもらわず、自分で大切に持っていましょう。

女性は婦人科のかかりつけをもちましょう

女性特有の検診や、月経や妊娠の相談の専門家が婦人科(産婦人科)です。大切な人生のイベントで、月経や妊娠を自分でコントロールできずつらい思いをしないように、身近にかかりつけをもちましょう。婦人科以外にも相談に乗ってくれる総合的なクリニックがあればそれでもよいでしょう。特に、子宮がん検診は20歳から始まります。忘れずに受けましょう。

友達や学校保健室などに気軽に相談しましょう

健康問題や受診先の選択で頼りになるのは身近で信頼できる友達です。友達の口コミが大いに役立つことがあります。また、たいていの学校や企業には保健室のような相談窓口があります。慣れない土地で困っている若者の療養や受診のアドバイスには慣れているはずですので気軽に利用してください。

SNSも便利ですが、間違った情報があふれていますので、判断する力が必要です。

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