新たにオープンした4西病棟について

長野中央病院の第9期増改築工事も6月に無事竣工し、新たに37床の4階西病棟がオープンしました。この新しい病棟は「総合診療病棟」と位置づけられています。今回は、総合診療病棟とはなにかをお話します。

長野中央病院 内科総括部長 4階西病棟医長 河野 恆輔

「総合診療科」とは

総合診療科とは、近年の医師の専門分化が進むなか、どの科を受診すればよいかわからない患者さんの窓口として機能します。また、高齢化がすすむなか、患者さんが持つ病気はひとつとは限らず、背景にある病気も診断します。

おもに内科として位置し、各科の専門領域にとどまらず幅広い視野で病態を観察することができます。

たとえば、主に胃の痛みを訴えて来院し、胃カメラをしても原因がわからない場合、そこで終了とせず、胃だけでなく血液的な疾患がないか、脳や全身の免疫疾患がないかなど、あらゆる視点で患者さんの病態を観察し、専門科を超えた横断的な知識で的確な診断をし、治療することになります。

その際、たとえば外科的な処置や治療は外科に、心臓カテーテル治療などは循環器内科、胃カメラなどは消化器内科など、必要な場合は専門科に依頼します。ただし主治医は変わらず、病態を初診から最後まで見届けることとなります。

改めて4階西病棟とは

長野中央病院では、専門科の医師であっても、常に総合的な視点で治療を行ってきましたが、総合診療病棟は、さらに発展したものとなります。あらゆる疾患を総合的に診て、診断・治療を行います。さらに各専門医とも協力して治療をすすめていきます。

この病棟のもうひとつの大きな特徴は、若い医師を育てることを目的にしていることです。研修の医師は、医師免許を取得してから、2年間の臨床研修が義務づけられています。昨年までは各科を回って研修をしていましたが、より広く、さらに深い研修をするために回診は総合診療病棟で行うことにしました。

この4階西病棟では、研修の医師が最初から最後まで関わることができるため、しっかりとした病態の観察から治療に至るまで、すべて受け持つことが可能となりました。

今後の期待

総合診療病棟では、各科の専門医を含めたカンファレンスを毎日行い、週1回は、全職種(看護師、薬剤師、栄養士、リハビリスタッフなど)の参加で行っています。このことで患者さんの病気や療養状況を総合的に診ることができますし、より親身になって治療をさせていただくことができるようになると思います。

病棟は4階にあり、見晴らしも良く療養環境も最高です。今後の総合診療病棟にご期待ください。

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