高血圧スクリーニング検査を

今や日本人の約3人に1人、4000万人が高血圧を患っている時代となりました。今回は高血圧の中で約10%の割合を占めている二次性高血圧症、とりわけ割合が多い原発性アルドステロン症(以下PA)について概説します。 二次性高血圧症は、通常の高血圧症の治療では血圧が下がりにくい一方、原因となる病気を診断し早期に治療を行うことで、高血圧が治癒または血圧コントロールの著明な改善が得られる病気です。 二次性高血圧症の原因となる病気は、内分泌性(含PA)、腎性、血管性、脳・中枢神経系疾患によるもの、遺伝性、薬剤性、その他があります。

長野中央病院内科 医師 原 悠太

原発性アルドステロン症(PA)とは

PAは、副腎というさまざまなホルモンを産生する臓器にアルドステロンという血圧をあげるホルモンを作る腫瘍ができてしまい、アルドステロン分泌過剰となり高血圧になる病気です。
診断のためには

①スクリーニング検査として血中アルドステロン濃度、血中レニン活性を測定しアルドステロン/レニン比(ARR)を計算します。ARRが200より高い場合はスクリーニング陽性と判断し
②二次検査として負荷試験を行います。またPAが疑われる場合は
③腹部CT検査で副腎に腫瘍がないか確認します。

PAの治療方法

治療方法は、外科的治療と内科的治療に分けられます。

外科的治療は根治目的の治療で原因となる副腎腫瘍を切除できれば、高血圧の根治が期待できます。適応は、年齢や副腎腫瘍の部位(片側性か両側性か)、手術に耐えられる全身状態か、本人の希望があることが条件となります。

外科的治療希望の場合は、副腎腫瘍が片側性か両側性かの判定のため、さらに副腎静脈サンプリングというカテーテル検査が必要です。

内科的治療は高齢者や手術に耐えられる体力がない人、外科手術の希望がない人が対象で、内服薬による治療を行います。適切な内服薬使用で血圧コントロールに必要な内服薬の数や量を減らせる可能性があります。

スクリーニング検査を受けましょう

PAのスクリーニングの対象となる条件は、高血圧がある方です。スクリーニング検査は採血条件の影響を受けやすく、特にすでに高血圧の治療薬内服中の方は薬の種類によっては休薬が必要となる場合があるため主治医と相談が必要です。①で陽性となった場合は②③の精査目的に2泊3日程の入院検査をお勧めしています。

初めて高血圧を指摘された方や高血圧治療に難渋している方は、一度スクリーニング検査を受けることをお勧めします。

目次