熱中症の季節になりました
2016年08月01日
暑くなってきましたが、皆さんいかがお過ごしですか。 毎年この時期になると「熱中症で○人が救急搬送」といったニュースを見聞きするようになります。今回はその熱中症のお話です。
長野中央病院 内科 医師 池田 徹
熱中症とは
一昔前はよく「日射病」と言われていましたが、必ずしも日向にいなくてもなることから、近年は熱中症と言われるようになってきました。また、症状によって「熱けいれん・熱疲労・熱射病」と分けたりもしますが、まとめると「暑い中にいることで、体が対応しきれなくなったために起きるさまざまな症状」ということになります。
熱中症の症状
症状は、軽症では筋肉痛や硬直(こむら返り)、めまい、生あくびなどですが、重症化するにつれ頭痛・嘔吐・集中力や判断力の低下といった神経症状が現れてきます。さらに重症となるとけいれんや今の時間・場所が分からないという意識障害が現れます。
軽症のうちは涼しい場所で休む、体を冷やす、水分・塩分の摂取といった対応でよいのですが、重症の症状が出てきたときにはすぐに医療機関での治療が必要となります。また、軽症であっても時間の経過とともに症状が重症化することもあるため、一人にはせずに見守りが必要です。
熱中症の予防
人間の体は、暑い環境にいるときには汗をかいて、体温が上がり過ぎないようにします。汗の中には水分だけでなく塩分も含まれているため、熱中症の予防には汗で失った水分と塩分の補給が必要です。また、飲んだ塩分は腸では糖分とともに吸収されるため、適度な量の糖分も一緒に摂取したほうが吸収の効率が上がります。
特に症状が無い時にはスポーツドリンクでもよいのですが、これは塩分量が少なく糖分が多いため、吸収の効率はさほど良くはありません。炎天下に長時間いるときや熱中症の症状が出始めた時など、早く補給が必要な時には薬局などで売っている「経口補水液」が適切です。夏になるとコンビニでも売っていることがあるので、万一に備えて何本かストックしておいてもよいと思います。
ただし、心臓や腎臓の病気がある場合は、水分や塩分を摂りすぎるとそちらが悪化してしまうこともありうるため注意が必要です。どれくらい摂っていいのか主治医と相談してください。