長野中央病院における肝臓手術の現状
2016年07月01日
長野中央病院 外科 医師 和城 光庸
肝臓とは
肝臓は脳とともに人体最大の臓器です。代謝機能の中枢であり
①消化管で吸収された栄養を貯え、必要に応じて血中に放出する。
②薬剤などの毒物を解毒する。
③酵素などのたんぱく質を合成する。
④細菌などに対して食作用を営み、抗体を産生する。
⑤体液量の調節をする。
などの機能を持っています。
また、周囲を肋骨に囲まれており、内部には肝臓に血液を運ぶ動脈、消化管から栄養を運ぶ門脈、胆汁を運ぶ胆管、血液を心臓に運ぶ肝静脈があります。このため、手術に際しては専門的な技術や知識が必要です。
肝臓にできる腫瘍
肝臓に発生する腫瘍としては、胃や大腸などの消化管に発生した癌の転移や、C型肝炎やB型肝炎などのウイルス性肝炎による肝硬変を背景とした肝細胞癌があります。
最近では、非アルコール性脂肪性肝炎などに随伴した肝細胞癌も増えています。
肝細胞癌の治療法
肝細胞癌の治療法は、①ラジオ波凝固術、②血管塞栓術、③肝切除術、④化学療法などさまざまです。当院には肝臓専門医が2名常勤しており、それぞれの病状に応じた最適な治療法を選択し、実施することが可能です。
肝切除術に際しては、全例開腹下に行っています。腹腔鏡下手術に比較し、若干創部が大きいですが、直視下に手術することが可能です。安全で確実な手術を心がけています。2015年4月から当院では、肝部分切除3例、肝外側区域切除2例、肝右葉切除1例、拡大肝右葉切除1例を全例開腹下に手術しています。皆様お元気におかえりいただきました。