癌による黄疸に新たな治療

長野中央病院・内科 医師 平野 拓己

黄疸とは

黄疸は皮膚や眼球の色、尿の色までが黄色になってしまう状態で、食欲低下や倦怠感などの症状が現れます。肝臓でつくられる胆汁という消化液には黄色の色素が含まれています。

本来なら胆汁は肝臓から胆管という管を通って腸に流れます。しかし、肝臓や胆管、膵臓の病気では胆汁の流れが障害され、黄色の色素が体にたまってしまい黄疸になります。胆管癌や膵癌といった病気では、癌が胆管を閉塞させ、黄疸になることがしばしばあります。

癌による黄疸の治療

まず第一には手術で癌をとってしまえば、黄疸はなおります。しかし、胆管癌や膵癌では手術ができないことも多く、そのようなときには手術以外の方法で黄疸の治療を行います。

これまでは口から内視鏡をいれ、胆管の閉塞部にステントという中空のチューブを入れる方法と、体の外から直接胆管にチューブを入れて、胆汁を体の外に出す方法が行われてきました。

しかし、これまで行ってきた内視鏡を使った方法では、まれに胆管にステントを入れられないことがありました。そんな時にも体の外からチューブを入れることはできますが、これでは体の外に一本のチューブが出たまま生活しなければなりません。

超音波内視鏡を使ってステントを挿入

最近、新しい黄疸の治療として超音波内視鏡を使った方法が行われるようになりつつあります。超音波内視鏡は先端に超音波の機械がついており、胃や十二指腸の中から、胆管の通路をみることができます。

今までの内視鏡では胆管の出口からしかステントを入れられませんでしたが、超音波内視鏡を使えば胆管の通路の途中からでもステントを入れられるようになり、選択肢が広がりました。長野中央病院でもすこしずつ試み始めています。

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