急性胆のう炎の症状と治療
2018年03月02日
長野中央病院 外科 医師 北原 拓哉
急性胆のう炎とは
昨年末、有名人が急性胆のう炎で入院し手術治療を受けたと耳にしました。今回は話題の急性胆のう炎について解説します。
強い右よりの上腹部痛が起こった場合、胆のうの炎症が原因の場合があります。胆のうの出口を胆のう結石がふさぐと胆のうが腫れ、細菌が増殖し、これを放っておくと急性胆のう炎となります。
治療方法
治療は抗生物質の投与や、胆のうに体外から超音波下に針を刺して胆汁を吸引する方法、手術で胆のうを摘出する方法などがありますが、胆のう炎は再発のリスクが高く手術による根本的な治療が薦められています。
手術方法は、開腹手術と腹腔鏡手術があります。腹腔鏡手術は、手術の傷の痛みが少ない、傷が目立たない、早期退院が可能、などのメリットがあり、炎症が落ち着いた状態の胆のうに対してよく行われています。
ただ、炎症の強い胆のうに対してはなかなか難しいケースがあり、その場合には開腹手術を選択します。
当院の胆のうの腹腔鏡手術
おへそに小さな穴を開けておなかを二酸化炭素で膨らませ、穴から腹腔鏡というカメラを入れて観察しながら手術を行います。おへその他にも2~3か所の小さな穴を腹にあけて、電気メスやはさみなどの手術器具を挿入できるようにします。
当院では、おへそに20㎜ほどの穴をあけ、手術器具用の穴をみぞおちに12㎜、みぞおちの右側に5㎜の穴を空けて手術を行っています。
胆のうをとってしまっても大丈夫?
胆のうをとってしまっても体に大きな影響はありません。胆のうは胆汁を一時的に貯めておくための袋であり、胆汁は肝臓で作られています。
もちろん手術しなくて済むのであればそれに越したことはないですが、胆のう結石が原因で急性胆のう炎を起こした人は、一旦他の方法で急性胆のう炎を抑え込んだとしても再発のリスクが高く、手術をして根本的に治療をした方が望ましいと考えられています。
胆のう炎は放っておくと、腫れが強くなって破裂し腹膜炎となり重症となることがあります。みぞおちの右あたりの腹痛、発熱、吐き気など、疑わしい症状があれば早めの受診をお勧めします。