最新持続血糖測定装置で糖尿病治療に広がり
2018年04月02日
長野中央病院 内科 医師 青木 由貴子
これまでの血糖値測定
糖尿病の中でもインスリン注射を行っている人は、自分で血糖値を測定しながら(自己血糖測定:SMBG)治療を進めるケースが多々あります。国内では、現在測定のたびに指に針を刺して採血する装置が主に使われています。しかし、このSMBGは測定時点の血糖値を明らかにしますが、測定時点の血糖値が上昇傾向にあるのか、変化がないのか、下降傾向にあるのかを推定することが困難でした。また、夜間の血糖値の推移を把握することは不可能でした。
持続的な血糖値測定が可能に
そこで、1999年に前述したSMBGが抱える問題を連続測定により解決する持続血糖モニター(CGM)機器が開発され、日本では2009年から発売されました。最近は持続血糖測定モニターがさらに発達し、17年9月1日から、とある持続血糖測定装置が保険適用になりました(8月23日中央社会保険医療協議会総会)。
装置の名前は 「リブレ」 。アボット社から出ているリブレは、二の腕につけたセンサーにスマートフォンサイズの本体をかざすだけで血糖値が測定(FGM)できます。
実際は血糖値ではなく間質液を測定しています。血糖値の変化に対する間質液グルコース値の生理的タイムラグは約5~10分間とされています。リブレは、間質液グルコース値の変動を、分かりやすいグラフで表示します。グルコース値と8時間の履歴、グルコース変動の傾向を矢印で示します。センサーの寿命は2週間。針は非常に細いため、装着時の痛みはほとんどありません。また、防水加工なので、つけたまま入浴や水泳など可能です(海水 ・ 温泉は不明)。
保険適用で治療内容も最適化へ
患者評価では、96%の患者がリブレによる測定を「簡単」「苦痛や困難さを軽減する」と回答したといいます。
実際に1型糖尿病患者を対象に実施された「IMPACT試験」と、2型糖尿病患者を対象に実施された「REPLACE試験」では、リブレを用いた群では従来のSMBGに比べ低血糖発現時間が短縮したことが示されています。
保険適用にもなり、使用が普及することで、治療内容が最適化される糖尿病の患者さんが今後増加するでしょう。インスリン注射を行っているものの、血糖コントロールがいまひとつうまくいかない糖尿病の患者さんは、ぜひ医師に相談してみてください。
注)SMBG = self-monitoring of blood glucose
CGM = continuous glucose monitoring
FGM = flash glucose monitoring