骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の話 ~若い人も要注意~

長野中央病院 整形外科 医師 後田 圭

骨粗鬆症は命に関わる病気

年をとれば骨が脆くなるのは皆同じですが、人によって程度には差があります。一度折れてしまうと次から次へと骨折が増えていきます。その度に体は次第に動かなくなり、寝たきりになれば肺炎等で亡くなる危険性が高くなります。骨粗鬆症は高血圧や糖尿病と同様に「命に関わる病気」なのです。

骨密度を測りましょう

転倒等軽微な外傷や外傷の記憶がないのに背骨が潰れたりするようなら、それはもう骨粗鬆症です。健康診断等で骨密度を調べることも多くなりましたが、背骨と大腿骨の両方で計測する必要があります。程度が軽ければ家族歴等から将来の骨折しやすさを予測することもあります。

骨粗鬆症の治療法

治療薬には飲み薬や注射があります。「ずっと治療を続けなければならないのか?」という質問も多いのですが、治療開始後も骨密度や血液等の検査を行って、骨密度が改善し、骨折の危険が小さければ薬を減らしたり止めたりもします。骨折を起こす前に治療を開始し、骨密度が改善した患者さんは止めやすいのですが、すでに骨折を起こしてしまった方の投薬中止は慎重に行います。また、止めた後で骨密度が悪化する患者さんもいらっしゃるので、定期的な検査は続けた方が良いでしょう。

すべての年齢で「バランスの良い食事と適度な運動」 を

骨粗鬆症は高齢の方だけの問題ではありません。人間の骨密度は20歳くらいまでに上昇を続け、しばらく維持された後、50歳ぐらいで低下しはじめます。若い時の偏食や過度な運動、それによる無月経などがあると、十分な骨密度が得られないまま低下を始めるため、骨粗鬆症が深刻になるので要注意。 バランスの良い食事と適度な運動はすべての年齢で大切です。

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