長野中央病院でAIによる問診を始めました

長野中央病院の内科初診外来に、人工知能(AI)を利用したAI問診を導入しました。全国の病院で5番目、長野県内では初の導入です。新聞やテレビ、雑誌などでも紹介され、徐々に注目を集めています。

長野中央病院 副院長 小島 英吾

人工知能で問診

AI問診は、患者さんの症状 (咳が出る、 お腹が痛い、等)に合わせて、自動で次の詳しい質問(それはいつからですか?お腹のどのあたりが痛みますか?等)を作り出します。その質問に、患者さんがタブレット端末を操作して回答を入力します。そして、一通り入力を終えると、診察室の医師の画面上に、問診の内容が医学的に整理された形で表示される、というしくみです。

試験導入の結果

長野中央病院では、このAI問診の導入決定までに試験導入を2か月間行いました。結果として、患者さんの問診までの待ち時間を大幅に短縮させる事ができ、また、医師からも一定の高評価を得られたため導入を決めました。

試験導入では、良い意味で意外だった出来事が3点ありました。1点目は、9割の患者さんが自分の力だけでタブレット入力を完了できたという点。2点目は、患者さんから、 「タブレットの方が対面よりも答えやすい。 」 という声が聞かれた点、そして3点目は、AI問診の案内に携わる事務職員が、病状をおうかがいすることも含めて患者さんと接する機会が増えた結果、仕事の質の向上につながっているという点、です。

しかし、良い事ばかりではありません。患者さんから「AI問診では、言いたいことが言えなかった。 」というご意見も頂戴しています。これらの問題については今後改善してゆくつもりです。AI問診を使う事によって生まれる看護師の時間を、患者さんのケアに充て、一層患者さんに優しい外来にしていきたいと考えています。

AIを上手に使って

現在、医療界全体において、情報通信技術(ICT)の活用が急速に進んでいます。長野中央病院では、院内にICT活用委員会を新設しこの分野を検討していきます。とはいえAIという技術は、まだまだ発達中の技術ですので、過信せず、上手に使って、これまで以上に、患者さん中心の親切で良い医療を提供していきたいと考えています。

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