胆のう結石について

長野中央病院 外科 医師 依田 惇志

胆石症とは

胆汁は、食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化・吸収を助ける黄褐色の消化液で、肝臓で1日に600~800?程度作られ、十二指腸に排出されます。この胆汁が流れる道を胆道と呼びますが、胆道に石(結石)ができる病態を総称して胆石症と呼びます。

また結石ができる部位によって、「胆のう結石」、「胆管結石」(肝外胆管にできた結石)、「肝内結石」に分けられますが、胆のう結石が約80%ともっとも多いです。

日本人の胆石保有率は食生活の欧米化や高齢化などを背景に年々増加しており、現在では成人の10人に1人は胆石をもっているとされています。

症 状

胆石症になっても、2~3割の人はほとんど症状がみられません(無症状胆石)。しかし、半数以上の人には「胆道痛」といわれる特徴的な右の肋骨の下の部分やみぞおちの痛み、右肩に放散する痛みがみられます。この痛みは食後に出ることが多いのも特徴です。

また、胆石が原因で胆のうや胆管に炎症を起こし、高い熱が出ることもあります。胆のう結石では、胆石により胆のうから胆管への胆汁の流れがせき止められ、胆汁の成分が胆のうの粘膜を傷つけ、さらに細菌の感染が加わることで炎症が進み、急性胆のう炎になります。

治 療

胆石症のうち痛みなどの明らかな症状がないものを「無症状胆石」といいます。その場合は、治療を行わずに定期的に経過を観察します。

胆のう結石は、お腹の痛みなどの症状がある場合には手術による治療が原則で、胆のうを取り除く手術を全身麻酔下で行います。

手術方法は、開腹手術と腹腔鏡手術があります。腹腔鏡手術は傷口が小さく、術後の痛みが少ないため、日常生活への復帰が早いことが特徴です。しかし、炎症などによる胆のうの癒着、あるいは胆のうがんの合併が疑われる場合など、腹腔鏡での手術がむずかしい場合は、開腹手術となります。傷口は大きくなりますが、直接手で触れながら治療できるので安全性に優れています。

右肋骨の下やみぞおちの痛みなど疑わしい症状があれば早めの受診をお勧めします。

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