大腸癌の早期発見のために便潜血検査を受けましょう

こんにちは、長野中央病院の総合診療科の西園友貴です。 突然ですが皆さん、便潜血検査を受けたことはありますか。便潜血検査とは、便の表面に眼に見えないような微量の血液が含まれているかどうかを確認する検査で、当院でも健診の一環として受けることができます。この検査を受けることで、大腸癌を早めに発見することができます。

長野中央病院 総合診療科 医師 西園 友貴

男性3位、女性1位の死亡数

大腸癌は日本人にとても多い癌です。2019年の罹患数だけ見ると、日本で一番数の多い癌は大腸癌という統計結果が出ています。死亡数は、男性では3位、女性ではなんと1位です。

大腸癌の症状としては血便(便に血が混じる)、下痢と便秘を繰り返す、お腹の張る感じ、体重減少などがあります。しかし、早期の大腸癌には症状がほとんどなくこれらの症状が出たときにはすでに進行癌となっていることが少なくありません。

大腸癌発見のためには、大腸内視鏡検査が必須です。大腸カメラは撮影だけでなく、特殊な光を出して病変を見つけやすくしたり、組織やポリープを取ってきたりと色々なことができます。

しかし、この検査は、その場ですぐにできる検査ではありません。直前に消化のいいものを食べたり、下剤を飲んで腸の中をきれいにする必要があります。無症状なのにそういった検査を受けることは少しハードルが高いかもしれません。

便潜血検査で早期発見

どなたにも大腸癌を発見するきっかけをくれる検査、それが便潜血検査になります。

やり方は簡単で、便の表面を専用のスティックで数回なぞるだけ、これだけです。この時、便の中にスティックを差し込むと検査結果が正しく出ない場合があるのでご注意ください。また、検査の精度をあげるために2回(2日間)やってください。

便潜血検査は補助の役割をする検査ですので、陽性となった場合は必ず大腸カメラを受けてください。2020年に当院で便潜血検査を受けた5018人のうち、陽性者は327人、その中でカメラで大腸癌が見つかった人は2人でした。

大腸癌を早期で見つけることができれば、大腸カメラで取ることができます。その段階で発見できれば大がかりな手術をする必要はないのです。少しでも症状がある方は、すぐに当院受診を。ない方もぜひ年に1回の便潜血検査を受けてください。そして、便潜血検査で陽性になってしまった場合は、必ず大腸内視鏡を受けましょう。

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