「月9」に無料低額診療制度が登場!

長野中央病院で2年目の研修医をしている河野と申します。来年度からは総合診療科の専攻医として研修・診療を行う予定です。わたしは、民医連の「無差別・平等の医療と福祉の実現を目指す」という理念に共感し、その実現のために地元の長野市で貢献したいと思い、長野中央病院での研修を始めました。 今回は、「無料低額診療制度」について紹介します。

長野中央病院 医師 河野 絵理子

だれでも医療が受けられる制度

「無料低額診療制度」は、社会福祉法にもとづき、生活困難な方が、経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されないよう、無料または低額で医療を行う制度です。

長野中央病院をはじめ全国に実施している病院があり、に全日本民主医療機関連合会(民医連)は、綱領に「無差別平等の医療」を掲げ、積極的にとりくんでいます。今まであまり知られていませんでしたが、コロナ禍で生活に困窮する方が増え、全国的に注目されています。

テレビドラマにも登場

最近はなんと、救急医療をテーマにしたテレビドラマに、「無料低額診断制度」が登場しました。

そのドラマでは、糖尿病が悪化してしまい昏睡状態で救急車で運ばれてきた患者さんについて、救急医が「どうして、こんなに症状が悪くなるまで病院にかからなかったのだろう。無保険だとしても、無料や低額で診療できる制度もあるのに」と嘆くのに対し、先輩医師が「生活に困窮している人は、そうした情報に辿り着くことすら難しいのだろう」と分析するやりとりです。

とても短いやりとりでしたが、まさに経済的に困窮し、十分な情報が不足するために医療を受けられない方がいるという、今の医療現場を表している印象的なシーンでした。しかも「月9」で「無料低額診療制度」が取り上げられるなんて、民医連の目指す「無差別平等の医療」が、社会的に広く必要とされているということではないかと改めて思います。

安心して「まず受診」を!

日本では、憲法25条に基づき、すべての人が健康で文化的な生活を営む権利を有しており、全ての人が医療を受ける権利があります。しかし現実には、金銭的な理由で病院にかかることをためらっている方もいると思います。そうした方はぜひこの「無料低額診療制度」を利用して、安心して受診していただきたいです。

無料低額診療制度をはじめ、すべての方が安心して医療を受けられるためのとりくみに、わたしも参加していきたいと思っています。

「無料低額診療制度」利用の流れ

「相談」
窓口の職員または医療福祉相談室に声をかけてください。申請書や収入状況を証明する資料は必要ですが、まず治療を始めます。安心して受診してください。
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「面談」
医療福祉相談室でお話をうかがいます。制度の適用にならない場合でも治療費の支払いや生活について、一緒に打開の道をさがします。
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「審査・決定」
適用かどうか会議で検討します。無料低額診療制度は、生活が改善するまでの一定期間の措置です。公的な制度や社会資源の活用、生活改善の方向を提案するなど、一緒に生活を立て直していきます。

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