子宮頸がんを予防しましょう

長野中央病院 婦人科 医師 徳平 厚

子宮がんとは

子宮頸がんが20代後半から多くなり若い世代でも発症するのに対して、子宮体がんは40代以降で発症が増えるといわれています。そして、子宮頸がんがヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を主な原因とするのに対し、子宮体がんの主な原因はエストロゲン(女性ホルモン)による長期的な刺激です(図⓵⓶)。

子宮頸がんにかかる女性の約16%が20~30代です。子宮頸がんになる前段階の上皮内がんを含めると約38%が20~30代となっています。また、上皮内がんを含む子宮頸がんの場合、発症のピークが女性の妊娠・出産年齢と重なることもあり、女性にとって深刻な病気だといえます。

日本では毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんと診断されています。また、年間約3000人の女性が子宮頸がんで命を落としています。

セクシャルデビュー(初めての性交渉)の低年齢化などにより、日本では20~30代の上皮内がんを含めた子宮頸がん発症数は増加しています。特に2000年以降の増え方は顕著で、亡くなる方も増えています。

子宮頸がん予防のHPVワクチンについて

HPVワクチンは、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。子宮頸がんのほとんどは、主に性交渉によって感染するHPVが原因のため、感染予防としてのワクチン接種が大切です。HPVは、性交渉の経験がある女性なら誰でもかかる可能性があります。

また、子宮頸がんの中には検診で見つかりにくいがんもあるため、できる限りウイルスに感染する前のワクチン接種が大切です。

ワクチン接種と検診は役割が違うため、どちらも受けることが重要です。まず「1次予防」としてHPV感染を防ぐためのワクチン接種があり、「2次予防」としてがんになる前の段階やがんの初期に発見するための定期的な検診があります。(図⓷)

ワクチン接種を受ける前の確認

定期接種・キャッチアップ接種制度の対象者の方は、自治体から送付された子宮頸がん予防接種のお知らせ(予診票)を確認して、注意事項を読みましょう。

キャッチアップ接種対象の方は、できるだけ母子健康手帳を確認・持参して、市区町村(自治体)や医療機関に相談してください。

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