早期発見・治療が肝心 乳房検診を受けましょう
2009年10月01日
長野中央病院外科 医師 成田 淳
日本人女性がもっともかかりやすいがん
身近なところで”乳がん“の話を耳にすることが多くなってきました。日本においても乳がんの発生率が次第に高くなっており、女性の20人に1人が罹患するといわれています。
乳がんにかかる人は30代から40代にかけて急増し、ピークは40代後半です。しかし、残念ながら乳がんは何歳でもかかる可能性があり、70代、80代にも発生します。現在、日本人女性がもっともかかりやすい”がん“が”乳がん“であり、壮年層(30~64歳)のがん死亡原因のトップです。
早期発見・治療で90%が治癒
乳がんの治療には手術療法、ホルモン療法、抗がん剤療法、放射線療法があります。しかし中心になるのは手術療法です。全身麻酔下に乳房の手術を入院して行います。幸いなことに、早期発見・早期治療を行えば、約90%の人が治癒する、比較的治癒しやすい”がん“です。
マンモグラフィーで小さながんも発見
乳がんの診療のポイントは、なんといっても早期発見です。そのためには乳房検診が必要です。乳がんがあっても基本的には痛みを感じないため、乳がんの早期発見には、積極的な検診しかありません。
検診の方法は①触診②超音波検査③マンモグラフィーの主に3種類。中でもマンモグラフィー検診は、より早期の小さな乳がんを発見する方法として近年注目されています。
当院は05年にマンモグラフィー撮影装置を導入し、本年はマンモグラフィー検診施設認定も取得しました。マンモグラフィー読影認定医師は5人も在籍し、日々確かな診療に努めています。長野中央病院は長野市の中でも、乳がん検診機能の非常に高い病院です。
長野中央病院のマンモグラフィー検査技師は全員女性です
自己触診も大切
乳腺は体表に存在するため、直接触れることができる臓器です。乳房をつかまず、できるだけ体に垂直に、指を3本押し当て触れてみます。まず肋骨を認識し(肋骨は敏感な部位なので押すだけでも痛いものです)少し指をずらしてみます。皮膚の下、肋骨の上になにか硬いしこりが触れないかを調べてみます。比較的強めに押すのがこつです。ご自身の乳房です。さあ、触ってみましょう。このように乳房自己触診も時々行ってみましょう。
全世界がめざす乳がん撲滅
10月はピンクリボン月間です。ピンクのリボンは、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるシンボルマークです。1980年代に市民運動としてアメリカではじまった歴史ある運動ですが、今、乳がんの撲滅をめざして、ますます世界中で活発な活動が繰り広げられています。ピンクのリボンを胸につけ、長野の地でも乳がん検診を積極的に進めたいと考えます。
今、社会の要である女性を襲う“がん”が問題になっています。みなさん、婦人科検診と共に乳がん検診をぜひ受けましょう。