今また、風疹の予防を徹底しよう

昨年から本年にかけて、日本では風疹の流行が問題となっています。拡大のピークは過ぎたいう報道もありますが、日本における風疹の流行の恐れは今後も続きますので、「もう過ぎたこと」と安心せずにきちんと用心してください。

長野中央病院感染対策委員長 小児科医師  番場 誉

今の風疹流行の特徴

この流行を起こした風疹のウイルスは、本来日本の中にあったウイルスではなくて2011年にはじまった東南アジア地域での流行ウイルスが国内に持ち込まれたものであることがわかっています。新型インフルエンザ騒動でも経験したように、今の時代は国内に患者がいなくても、海外から持ち込まれた病原体によって伝染病が蔓延するのが当たり前です。ワクチンなどでの防御を世界的な視野からも継続する必要があるのです。

いまでこそ子どもが小学校に入るときには2回目までのワクチン接種が定着してきているのですが、歴史的にはうっかり接種を受けないで大人になっている人が相当いることがわかっていて、特に男性では20~30歳代で免疫をもっていない人がまだ2割ほどいます。

今回の流行はそのような免疫のない若い成人男性を中心に、学校ではなく「会社、職場」「会議や商談」を中心に全国に広まっています。女性の中にもわずかながらワクチンを受けていない人がいて、その女性が妊娠初期に風疹に感染すると、心臓や脳に障害を負った子どもがうまれる危険性があるのです。

まだ流行の恐れが続く

「感染のピークはすぎた」といって安心せず、ワクチンを受けていないか、はっきりしない方は、急いでワクチンを受けていただきたいと思います。

急いでワクチン接種を徹底していただきたいのは、これから妊娠の希望がある若い女性と、24から45歳くらいまでの男性です。1回でも受けていればまだよいのですが、受けていない方は最も急いでいただきたいと思います。

なお、50歳以上の成人はワクチンを受けなければならない人は少ないですし、息子さんや娘さんがワクチンを受けている限り接種は急がないで結構です。(この記事はワクチンがまだ不足していない7月の情報をもとにしていますので、最新の情報に従うようにお願いします)

ワクチンは5年10年先を見越して

日本はワクチン後進国です。世界ではすでに問題とならなくなった風疹をはじめ、今後はおたふくかぜやみずぼうそうも「大人の重症」として騒がれるときがくることは間違いありません。

伝染病対策は個人の責任ではなく国の責任、民医連は無料ですべてのワクチンが受けられるよう主張しています。

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