お薬、 見直してみませんか?
2019年02月01日
長野中央病院・内科 医師 永瀬 裕一朗
お薬、 見直してみませんか?
みなさんは、自分が薬をいくつ飲んでいるか把握しているでしょうか?
近年、ポリファーマシーが話題になっています。ポリファーマシーとは、 「ポリ=たくさんの」 + 「ファーマシー=薬」という言葉の組み合わせで、すなわち薬をたくさん飲んでいる状態を指します。
お薬は、一つひとつはそれなりの意味があって処方されていますが、 「必要以上に」たくさんの種類を服用することで飲み合わせの問題が生じてしまいます。ある数以上に内服をすると、転倒や副作用が増えてしまったという報告や、入院の原因の5%は薬の副作用が原因であったという報告もあります。
なぜ薬は増えてしまうの?
医療者側の要因としては、1人の患者さんに複数の病気があるとき、その全てに対応しようとして薬が増えてしまうことが挙げられます。例えば高血圧にこれとそれ、骨粗しょう症にあの薬とその薬、高脂血症に、糖尿病に、という風に。また一度薬を始めると、そのまま次の定期受診で引き継ぎとなってつみ重なることも問題です。
患者さんに原因があることもあります。腰が痛い、眠れない、胃の調子が悪いということで始めた薬を、良くなっても止めるのが心配で続けていませんか。また、さまざまな理由で薬がうまく飲めていないとき、結果を見た医師に「もっと治療の強化が必要だ」と判断されるのも一因です。血圧の薬を出されたのに忙しくて飲まなかったところ、 「まだ高いね」ともう1種類追加になってしまったなんて事態に。
どう解決していく?
患者さんと医療者のコミュニケーションが重要となります。患者さんから、 「眠れているからこの薬を減らしてみたい」とお話し頂いたり、医療者から「最近落ちついているから、この痛み止め減らしてみませんか」と提案したり。もし処方医へ話しにくければ、薬のプロである薬剤師へ伝えましょう。薬が減ることで副作用が少なくなるほか、お財布の負担も軽くなります。いま一度、自分の症状と処方を振り返ってみませんか。
(注:薬の数が問題ではなく、「必要以上に」多くの薬を飲んでいることが問題です。病気によっては、複数の飲み薬を使用して治療を行います。自分の処方に疑問が生じたら、決してご自身の判断で中止をすることなく、必ず主治医の先生に確認をして下さい。