早期の大腸がん発見のため便潜血検査を受けましょう
2020年02月01日
長野中央病院外科部長 南長池診療所長 成田 淳
増えている大腸がん
大腸がんの病期は4つに分かれます。同じく国立がん研究センターが発表した早期と考えられるステージⅠの5年生存率(相対生存率)は95・1%。病状が進行したステージⅣは18・5%です。増えている大腸がんを早期に発見しなければなりません。
便潜血検査
早期の大腸がんには症状がありません。大腸がんを診断するためには内視鏡検査(大腸カメラ)が必要ですが、検診として多くの方に内視鏡検査を施行することは困難です。便潜血反応は便の中に混じった血液を検出し大腸がん発見が期待できる検査方法です。毎日出る(?)"うんち”の表面を専用の楊枝のようなスティックで数回なぞり容器に完納。あとは提出るだけです。検査の精度を上げるため、検査を2回(2日間)行いましょう。
Q&Aコーナー
Q1
便潜血検査でどのくらいの大腸がんが発見できるのでしょう?
A1
当院の健康管理課でドックと健診にて実施した2018年度の便潜血検査は5108件でした。便潜血反応の陽性率は7.6%(便潜血反応陽性者100人中7.6人の割合)であり、便潜血反応が陽性であった方に内視鏡検査を施行することによって、陽性者の2.0%の方(内視鏡検査を受けた方100人中2人の割合)に大腸がんが見つかりました。
Q2
便潜血反応が陽性に出た場合はどうしたらよいでしょう?
A2
便潜血反応が陽性でも大腸がんというわけではありません。しかし、従来から陽性者の3%程度に大腸がんが発見されるといわれています。2018年の当院健康管理課のデータは2%でした。便潜血反応が陽性に出た場合は内視鏡検査による精密検査が必要です。
Q3
検診で行われる便潜血検査は、早期がんの発見に本当に役立つのでしょうか?
A3
神奈川県にある民医連の病院、汐田総合病院から先日最新のデータをいただきました。検診の便潜血検査により発見された大腸がんのステージⅠ以下の割合は81%。症状があって病院を受診され便潜血反応を施行し診断された大腸がんのステージⅠ以下が34・2%であったとのことです。検診にて早期に大腸がんが発見されています。
便潜血検査を受けましょう
大腸がんが増加してしまった今日、便潜血検査は早期の大腸がんを発見できる最有力な方法です。あなたのため、そして大切なご家族のため、便潜血検査を受けましょう。また、反応が陽性に出た場合は内視鏡検査による精密検査を必ず受けましょう。