おいしく安全に「ゴックン」しましょう!
2017年06月01日
「嚥下障害(えんげしょうがい)」や「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」という言葉を新聞などでよく見聞きするようになりました。これらの言葉が身近になったのも超高齢化社会の反映なのかもしれません。
長野中央病院 リハビリテーション科 主任 平沢 利泰
食べること、嚥下障害と誤嚥性肺炎
私たちは食べ物を見ると頭の中で認識し、手や箸などを使い口に運びます。噛む必要がある物は噛んで、ある程度のまとまりにしてからゴックンと飲み込みます。ゴックンとした時に食べ物は喉を通り、その後は食道から胃に送られます。食べることは流れ作業のように行われるため普段意識することはありません。
しかし、病気や体力の低下で、ムセたり、食べづらくなったりすることがあります(嚥下障害)。その結果、食べ物が誤って気管に入り(誤嚥)、肺炎になることがあります(誤嚥性肺炎)。長野中央病院では、リハビリ職種の一つであるST(Speech Therapist:言語聴覚士)が食べること・飲み込むことを評価し、必要なリハビリを行っています。
現在、普通の食事をしている人
超高齢化社会では健康寿命を延ばすことが重要ですが、そのための3つの柱(栄養・運動・社会参加)の中に「食・口腔機能」が挙げられています(東京大学高齢社会研究機構)。口からおいしく食べ続けるために「あいうべ体操」などのトレーニングを生活の中に取り入れることをおすすめします。
嚥下障害の人や高齢者
これからの暑い時期は水分補給をこまめにしましょう。嚥下障害や飲み込む力が低下した人が、脱水状態になることで気道の粘膜の動きが低下し、痰が粘り気のあるものになります。その粘り気のある痰を出すことができないと、痰に細菌が繁殖し、肺に入ることで肺炎になる危険性が高まります。ゼリーなども使って水分補給することをおすすめします。ただし、心臓や腎臓に病気がある人は医師が指示する水分量を守ってください。
班会メニューに「嚥下リハビリらくらくゴックン」があります。病院での実践を踏まえ、予防目的の嚥下トレーニングから、より安全においしく食べるコツなどをお話しします。班会開催は地域活動部にお申し出ください。