便潜血検査のすすめ
2006年04月01日
長野中央病院 外科医師 檀原 哲也
増加しつつある大腸がん
日本で従来多いとされていた胃がんが減少傾向にあり、代わって大腸がんが増加しつつあります。
1950年に3728人だった死亡者数が、53年後の2003年には3万8909人で、10倍になっています。特に女性では、悪性新生物による死亡原因のトップになりました。
原因はいろいろ考えられますが、欧米型の食生活が関与していることはまちがいないと思われます。
大腸がんの見つけ方
初期の大腸がん、直腸がんは盛り上がったものが多いため、腸内を通過する内容物によって傷つけられ、出血しやすくなります。その見えない出血を、ヒトのヘモグロビンだけを検出する免疫反応によって調べることができます。これが、便潜血検査と呼ばれ るものです。
注腸レントゲン検査や大腸内視鏡検査と違って、浣腸したり下剤を飲んだりしなくても、採便だけで簡単にできるのが長所です。
1年に1度は便潜血検査を
長野市では市民健診のオプションとして便潜血検査が行われています。03年度は2万7154人(対象者11万900人)が受け、1664人(6・1%)が陽性になりました。そのうち大腸がんは、68人(4・9%)から発見されました。まさに「捨てるうんこに救わ れる命あり」です。
便潜血検査は、簡単ながら大腸がんの発見につながる有用な検査ですので、毎年受けるようにしましょう。もし、陽性判定が出た場合は、直ちに専門医を受診し、内視鏡検査やレントゲン検査を受けましょう。