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コロナ感染症を経て 長野中央病院 番場院長に聞く

長野中央病院 院長 番場 誉

Q:コロナ禍の4年間を振り返っていかがでしょうか。

A:まずは、ちょっと変な言い方にはなりますが、未知の感染症のパンデミックをしっかりと乗り越え今に至っていることをお互いに称えあいたい。学生生活や、人との関わりで失われたものも多かったと思うと犠牲も大きかったですが、反面うまくやったことや新たに学び実践する力を得たことは称えたいと思います。

Q:世界的に猛威を振るいましたね。

A:あえて反省点を述べるとするなら、世界中に感染症を流行させてしまう社会を作り出してしまった私たちの効率優先の活動でしょうか。これは自然災害でもあり人間社会が作り出した災害でもあったかと思います。

Q:5類移行後は、社会にどんな影響を残しているでしょうか。

A:看護師、介護士、保育士などの人と人とが触れ合うケアの職種が大変な仕事、リスクのある仕事としてやや忌避される傾向が強まったように個人的には感じます。

業務量に比べて給与も低いし、感染のリスクもある。志望する人が減りました。病院も、看護師、介護士はとても大切な職種ですから、給与をもっと上げたいけれど、公的に価格が決められていますから限界がある。

根底は、看護、介護、保育といった社会に不可欠のケアに関わるエッセンシャルワークへの不当に低い評価の慣習にあると思っています。最近は「ケアの倫理」として光が当たってきていることは歓迎したいと思いますが、これはジェンダー問題とも関わる大問題です。

Q:若者を中心に、ジェンダーの関心も高まっています。看護師や介護士の重要性や、差別に対する意識は、時間が経てば自然と伝わるものでしょうか。

A:僕が若い頃は、男尊女卑の時代を当たり前に経験していた大人たちが社会の中心でありました。今、そういう大人たちは現場を離れつつありますが、社会は大きく変わってはいない。時間が経てば、という考えは甘かったなと今になって思います。

Q:私たちは、今後新型コロナウイルスにどう対処していけばよいでしょうか。

A:今の私たちは、ワクチンや治療薬のある時代に生きています。4年前の当時より、安心できる時代じゃないかなと。

対処法は、極論は人と会わないこと。でもそうすると、また社会が止まってしまう。体調不良なら人と会わない、会話をするときはマスクをする、これまで通りですね。班会も、これまで通りやりましょう。あとは、私たちの役割として看護師、介護士のやりがいを伝えて、もっと社会的な評価を高めないといけない。

Q:最後に組合員のみなさんにメッセージをお願いします。

A:新型コロナウイルスは、はっきりとこうすれば予防できる、という話は難しいです。原則はシンプルですのでそれを守り、今まで通りの感染予防策で身を守りましょう。

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