コロナ禍での「熱中症」に注意しましょう

熱中症はいつでもどこでもだれでも条件次第で起こりうる病気です。昨今、新型コロナウイルス感染症予防のため、マスクを着用している時間も多いと 思います。マスクを着用することで体内に熱がこもりやすくなります。また、マスク内の湿度が上がるため、喉の渇きを感じづらくなり、脱水症状に気づかず、熱中症のリスクが高まります。「感染症対策」と「熱中症対策」を両立するためには何に注意したらよいか、ポイントをお伝えします。

長野中央病院内科 医師 遠藤 湧斗

1.マスク着用による熱中症のリスク

マスクを着けていると、皮膚からの熱が逃げにくくなり、気づかないうちに脱水になるなど、体温調節がむずかしくなってしまいます。マスクは飛沫の拡散予防に有効とされています。しかし、マスクを着用していない場合と比べると、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇するなど、身体に負担がかかることがあります。したがって、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクを高めるおそれがあります。

2.熱中症を防ぐために

この「マスク熱中症」を防ぐために、厚生労働省は「屋外で、周囲の人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクを外すようにしましょう」と呼びかけています。屋外では、距離を保ちつつ、マスクを外して適宜休憩をしましょう。

マスク着用時には、激しい運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給をこころがけることが重要です。1日あたり約1・2Lを目安に、入浴前後や起床後もまずは水分補給を意識しましょう。

また、現在は外出自粛による「屋内での熱中症」のリスクもあります。日本救急医学会熱中症ガイドライン2015では、高齢、屋内発症、非労作性熱中症が死亡の危険因子とされています。高齢になるほど熱に対する感受性、体温調整機能、活動レベルは低下し、さまざまな基礎疾患を有する場合、重症化しやすいと考えられます。

熱中症の予防には、エアコンの活用が有効です。エアコンの設置使用状況は若年者と比較し、高齢者では使用を控える傾向があるとの報告もあります。エアコンを活用しつつ、さらにこまめな換気を行うようにしましょう。

熱中症は、子どもから高齢者まで、だれにでも起こりうる可能性があります。暑さに備え、暑くなり始めの時期から無理のない範囲で適度に運動をしたり、毎日定時の体温測定を行うなど、体調管理に努めるようにしましょう。

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