〝温水洗浄便座〟も使いすぎに注意
2024年10月31日
長野中央病院 医師 中村 栄作
温水洗浄便座症候群とは?
近年、日本を含む多くの国で普及が進んでいる温水洗浄便座。しかし、多くの人が使用している温水洗浄便座に意外な健康リスクが潜んでいることをご存知でしょうか。それが「温水洗浄便座症候群」と呼ばれる現象です。この症候群は、温水洗浄便座の使用によって引き起こされる、主に肛門周辺の不快感や痛みを指します。
どのような症状が現れるのか?
温水洗浄便座症候群の症状は 以下のようなものです。
① 肛門の痛み:使用が過剰である場合、肛門周辺の皮膚が刺激され、痛みを感じることがあります。これが繰り返されると裂肛、いわゆる切れ痔が生じることもあります。
② かゆみ:温水洗浄によって乾燥したり、逆に湿った状態が続くことで、かゆみが生じることもあります。
なぜこの症候群が起こるのか?
温水洗浄便座は便利で衛生的な環境を提供してくれますが、使用方法や個人の体質によっては、かえって健康を害する要因になることがあります。
温水の温度や水圧が強すぎたり、洗浄時間が長すぎる場合には肛門周辺の皮膚を過度に刺激することになります。特に敏感肌の方や、皮膚にトラブルがある方は注意が必要です。また、洗浄後の水分の残りも皮膚のトラブルを引き起こす原因となります。
予防策と対策
温水洗浄便座症候群を防ぐためには、いくつかの注意点があります。
①温度と水圧の調整:温度や水圧を適切に設定し、快適な範囲内で使用することが重要です。
②洗浄時間の短縮:必要以上に長く洗浄を続けないように心がけましょう。短時間で済ませることが、皮膚への負担を軽減します。TOTO社の取り扱い説明書には20秒以下の使用を推奨しています。
③アフターケア:洗浄後は、優しく拭き取るか、乾燥させることで、皮膚を保護しましょう。必要に応じて、保湿クリームを使うことも効果的です。
まとめ
温水洗浄便座は、私たちの生活を快適にする便利な道具ですが、その使用には注意が必要です。温水洗浄便座症候群は、適切な使用方法を守ることで予防可能です。快適さと健康を両立させるために、ぜひ意識的に利用していきましょう。健康で快適なトイレライフを送るためには、知識と注意が不可欠です。