安全なお産のために、妊婦健診の目的と内容
2009年02月01日
長野中央病院産婦人科では4月から分娩を取り扱うこととなりました。妊婦さんと赤ちゃんを守るために、妊娠から出産までのさまざまなリスクや心配事を一緒に解決していく健診は、とても大切です。長野中央病院での妊娠週数ごとの健診の目的と内容についてお知らせします。
長野中央病院 産婦人科 医師 井吹 ゆき
初診
●時期/妊娠6週前後
●目的/妊婦の健康状態および現在の妊娠週数の確認
●内容/問診および診察、血圧・身長・体重測定、尿化学検査、経膣超音波、子宮頸癌検診、クラミジア感染症検査
●補足/初診時には最終月経と月経周期を確認し、子宮内の胎嚢や胎児の様子からおおよその妊娠週数を診断します。
また、妊婦の基礎疾患の有無や過去の妊娠分娩歴を確認し、今回の妊娠への影響を検討します。
再診から分娩予定日の決定まで
●時期/妊娠10週前後まで
●目的/流産や切迫流産、多胎の有無を確認、現在の妊娠週数と分娩予定日の診断
●内容/問診および診察、血圧・体重測定、尿化学検査、経膣超音波、血液検査(血液型、感染症、貧血、血糖、肝機能、腎機能など)
●補足/分娩予定日は最終月経からの計算と胎児の大きさとの兼ね合いでおよそ妊娠10週頃に診断し、この時期に妊娠初期の採血も行います。
初診から予定日決定までに、順調な経過の場合で3回程度の受診が必要です。
妊娠12週から23週頃まで
●妊婦健診の間隔/4週間ごと
●目的/母体の健康状態、胎児の発育状態・異常の有無、胎盤位置の確認など
●内容/問診および診察、血圧・体重測定、尿化学検査、胎児心音、経腹および経膣超音波、血液検査(妊娠20週前後)
●補足/この時期からお腹の上からの超音波検査を行い、胎児の発育の状態や異常の有無を検出します。20週から23週の間に内診や膣からの診察と超音波を行い、膣炎の有無および子宮口や子宮頸管の状態と胎盤の付着位置を確認します。20週前後で貧血の検査を行います。
妊娠24週から35週まで
●妊婦健診の間隔/2週間ごと
●目的/母体の健康状態、胎児の発育状態、切迫早産の有無、胎盤位置、羊水量の確認など
●内容/問診および診察、血圧・体重測定、尿化学検査、胎児心音、経腹および経膣超音波、血液検査(妊娠24および30週前後)
●補足/胎児の発育状態や羊水量を確認します。30週頃には内診や膣からの診察および超音波を行い、膣炎の有無および子宮口や子宮頸管の状態から切迫早産のハイリスクを検出します。胎盤の位置も確認します。妊娠24週前後には貧血と血糖の検査、30週前後には貧血の検査を行います。
妊娠36週から40週まで
●妊婦健診の間隔/1週間ごと
●目的/母体の健康状態、胎児の向き、胎児の発育状態、産道の細菌感染の有無、破水の有無、分娩開始の診断など
●内容/問診および診察、血圧・体重測定、尿化学検査、胎児心音、内診、経腹超音波検査、産道の細菌培養検査(妊娠36週)、血液検査(妊娠36週)、陣痛および胎児心拍モニターなど
●補足/妊娠36週に産道の細菌検査と貧血検査を行います。
妊娠37週以降は陣痛および胎児心拍モニター(NST)で子宮の収縮と胎児の健康状態を確認します。妊娠38週以降は内診で子宮口の状態も確認します。
分娩予定日以降
●妊婦健診の間隔/1週間に2回
●目的/母体の健康状態、胎児の健康状態、分娩の開始時期の確認など
●内容/問診および診察、血圧・体重測定、尿化学検査、内診、経腹超音波検査、陣痛および胎児心拍モニターなど
●補足/分娩予定日を過ぎても分娩が始まらない場合は、週2回の妊婦健診になります。毎回内診で子宮口の状態を診察し、NSTで胎児の健康状態を確認します。妊娠41週を過ぎても分娩が始まらない場合は、人工的に陣痛を誘発するため入院となります。
妊婦健診は妊婦と胎児の健康状態を把握し、少しでも安全なお産となるように合併症や異常を早期に発見・対応するために行いますが、同時に妊婦と医療スタッフとの信頼関係を築く上でも重要な健診です。不安や希望があれば納得がいくまで相談してください。