慢性じんま疹の新しい治療法
2018年11月01日
長野中央病院 皮膚科 医師 小口 真司
じんま疹について
皮膚が蚊に刺された時のように赤く平らに盛り上がって、強いかゆみを伴う病気です。
発疹は通常1日以上続くことはなく、数時間以内に跡形もなく消えます。特に夕方から翌朝にかけて症状がひどくなり、日中はよくなることを繰り返します。
重症の場合、発熱、腹痛、下痢、呼吸困難などを合併することもあります。
じんま疹の分類について
急性じんま疹(発症から1ヶ月以内の じんま疹)
◎原因、誘因
日頃の疲労・ストレス(最も多い誘因です)、食物(魚介類、肉類、卵・乳製品、穀類・野菜、食品添加物など)、感染症(ウイルス、 細菌など)、薬剤(かぜ薬、抗生物質、解熱鎮痛剤など)、植物・昆虫(イラクサ、ゴム、蜂刺されなど)、物理的刺激(機械的刺激、運動、日光、寒冷・温熱刺激など)
慢性じんま疹(発症から1ヶ月以上続いているじんま疹)
◎原因、誘因
日頃の疲労・ストレス(最も多い誘因です)
慢性じんま疹は、急性じんま疹の原因、誘因は関連がないことが多いです。
じんま疹の検査について
じんま疹を発症すると、内臓疾患などが気になる方も多いと思いますが、実際は内臓疾患が原因で発症することはほとんどありません。血液検査や画像検査は必要ないと考えられています。
ただし、一部の急性じんま疹の患者さんは、ある特定の食物や薬剤を投与した時のみじんま疹を起こす方がいますので、そのような場合には医療機関を受診してご相談下さい。
慢性じんま疹の場合は、検査を行っても原因を特定することはできません。
じんま疹の治療について
抗アレルギー剤(内服薬)
じんま疹のアレルギー反応を抑える薬で、じんま疹治療の主体となる薬です。薬の種類によっては、副作用で眠気やだるさが生じるものもありますが、最近では眠気やだるさの少ない薬も発売されています。
外用剤
じんま疹の発疹部位につける薬で、注射薬や内服薬と比べると治療効果は弱いですが、薬をつけるとややかゆみが落ち着く方も多いです。
注射薬(近年、慢性じんま疹の治療に使えるようになった新しい薬です)
一般名:オマリズマブ(商品名:ゾレア®)というじんま疹のアレルギー反応を抑える注射薬です。通常の治療では改善することが難しい慢性じんま疹の方に有効な薬です。治療方法は、月1回の皮下注射を3回行います(合計3回)。じんま疹でお困りの方は、お気軽に受診してご相談ください。