C型慢性肝炎のインターフェロン療法
2007年06月26日
C型慢性肝炎は、肝炎ウイルスの感染により引き起こされる病気です。多くは自覚症状に乏しいため、血液検査で偶然発見されることがほとんどです。 放置しておくと、20~50年という長い経過のうちに慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんに進行してしまいます。
長野中央病院 消化器科医師 小島 英吾
インターフェロンが唯一の治療法
肝炎の治療の目的はその進行を食い止めることですが、唯一インターフェロン療法のみが、原因ウイルスを排除できる可能性があります。
慢性肝炎に対するインターフェロン療法は、日本では1992年にはじめて承認され、行われてきました。
しかし初期の段階ではその排除率は満足できるものではなく、また、毎日あるいは隔日の投与が必要で、発熱や食欲不振などの副作用も多かったため、インターフェロン治療を完遂できる患者さんは多くはありませんでした。
改良・開発が進む肝炎治療
その後インターフェロン自体の改良が目覚ましく進み、また、インターフェロンの効果を高めるための薬剤の開発も進んできました。
04年から認められたペグインターフェロン+リバビリン療法という最新の方法が保険適用となりました。
その治験では、半年から1年間の投与で、なんとウイルス排除率は70%を超えています。難治性といわれていた1型高ウイルス量の方でも約50%の排除率を示しています。
副作用も大きく低減され、注射も週に1回で済むようになりました。
さらに、過去にインターフェロン療法を受けられて効果のなかった方でも、再投与が可能となっています。
治療を受ける前に排除率の確認も
しかし、注意点もあります。高齢者や重篤な基礎疾患のある方は、やはりインターフェロン療法は危険があるのでお勧めできません。
また、C型肝炎ウイルスにもいろいろの型があり、効きやすいタイプや効きにくいタイプがあります。治療を受ける前に、自分はどのくらいの可能性でウイルスが排除できるのか確認しておいたほうがよいでしょう。
うつ病や甲状腺の病気を患っている方の場合は、注意して加療する必要があります。
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現在のインターフェロン療法はかなりの成績を上げていますが、それでもその恩恵にあずかれない人もまだいるのが現実です。
しかし、C型肝炎の研究は日進月歩で進んでおり、今後つぎつぎと新薬が出る予定です。治験段階では90%を超えるウイルス排除率を示している新薬もあります。現在の治療法でかんばしい効果が得られなかった人も、肝庇護剤などで加療を行いつつ、医学の進歩を待って次のチャンスにかけてみましょう。