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COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療は禁煙!

   
長野中央病院 呼吸器内科 医師 長谷 衣佐乃

ある患者さんの体験を紹介します。

   「常に咳と痰に悩まされて、息を吸うのも吐くのもつらいです。着替えやトイレ、歯磨きの時にも息苦しくなり、24時間酸素を吸いながら生活をしています。お風呂に入ると苦しいので、どんなに寒い冬でもお湯につかっていられる時間は5分がやっとです。」
   病名は、COPD(chronic obstructive pulmonary disease )、日本語では慢性閉塞性肺疾患と言います。これは従来いわれてきた「肺気腫」と同じ病気です。

COPDの主な原因はタバコ

   タバコを吸うことで肺の構造が破壊され、本来の肺の機能である酸素や二酸化炭素の交換がうまくできなくなったり、空気がうまく吐き出せず肺が膨張したりします。
   COPDを発症するのは喫煙者の5人に1人と言われます。過去の研究では、日本人の約530万人がCOPD患者と推定されていますが、驚くべきことに96%の患者さんはまだCOPDと診断されていません。

症状は咳、痰、息切れ

   COPDの初期は全く無症状です。肺が傷むにつれ徐々に咳や痰が増え、階段を上るときに息切れしたり、同年代の人よりも歩くペースが遅くなったりします。また、急に呼吸困難となり、救急搬送されて初めて重症のCOPDと判明することも少なくありません。息切れや痰などの症状があっても、年のせいだ、体力が落ちたなあと考えてしまい、受診が遅れがちな病気なのです。

最も大事な治療は禁煙

   COPDの患者さんは「タバコを吸うと肺が傷みやすい遺伝子」をもっていると考えられています。すでにタバコで肺が傷んでいる方は、禁煙をしないとさらに肺は傷みます。残念ながら、一度傷んだ肺をもとのきれいな肺に戻す治療はまだありません。そのため、禁煙が最も大事な治療です。症状がある場合は、薬物治療が行われます。気管支拡張剤の吸入をすると気道が開き、呼吸しやすくなります。また、風邪や気道感染を契機に呼吸状態が悪化することがあるため、肺炎球菌やインフルエンザ、新型コロナなどのワクチンは積極的な接種が推奨されます。
   診断はレントゲンや呼吸機能(肺活量)検査などで行います。無症状でも検査で診断される患者さんも少なくありません。特に、喫煙歴がある40歳以上で、動いたときに息切れや慢性的な咳や痰がある方は、COPDの疑いがあります。年のせいと考えず、一度受診をお勧めします。