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健康・病気の知識

その症状「逆流性食道炎」ではありませんか?

□長野中央病院 消化器内科医師  小島 英吾

   逆流性食道炎は、胃の中にある酸が食道に逆流を起こして胸やけや、のどの違和感、胃もたれなどの症状を引き起こす病気で、内視鏡でみてみると、食道がただれてしまう病気です。ひどくなるとそこから出血が起きたり、食道が狭くなって食べ物が通らなくなってしまうこともあります。

増加の原因

   この病気は徐々に増えてきており、日本では1970年頃には人口比でみて約3%の割合だったものが、2006年には約23%にまで達しているという報告があります。
   その原因として、高齢化の影響、食生活の欧米化、あるいは最も大きな要因として、胃に棲むピロリ菌が減ってきたからと考えられます。
   ピロリ菌は胃に感染して胃を傷害します。その結果、ピロリ菌に感染している胃からは作られる酸が少なくなっています。ところが、ピロリ菌がいなくなることによって胃酸がしっかりと出ている方が多くなり、胃酸の食道への逆流が増えてきます。ピロリ菌が減ることによって胃潰瘍や十二指腸潰瘍、あるいは胃癌が減ってきているという大変良い変化が起こっている一方で逆流性食道炎が増えてきているわけです。

症状

   症状としては「胸やけ」を訴える方が多いです。しかし実際には、さまざまな症状を患者さんは訴えます。酸っぱい水が上がってくるといった「呑酸」、胃もたれ、胃の痛み、おなかの張りなど多様です。
   また、人によってはいわゆる胸やけ症状をむかむかする、胸が熱い、飲み込みにくいなどと表現されますので、多彩な症状といってよいかもしれません。

診断方法

   診断方法としては、まず症状がどうであるかが大切です。胸やけ、胃液の逆流、みぞおちの痛み、吐き気などを参考に食道炎の可能性を探ります。その結果、逆流性食道炎が疑わしいと判断されれば、内視鏡検査を受けることをお勧めします。
   その理由のひとつは、内視鏡を受けますと食道炎の程度が分かります。実際には激しく食道が荒らされていて、食道が狭くなるような変化がでているにも関わらず、症状はほとんどない方もいらっしゃいます。
   もうひとつは、食道がんや胃がんを否定することが必要だからです。これらの癌があるために胸やけ症状や胃が痛いなどの訴えをする方も少なくありません。

治療方法

   治療としては、まずは生活習慣や食習慣の改善が大切です。太った方は、是非体重を減らしてみてください。脂肪が、胃を圧迫して胃酸の逆流の原因になっていることがありますので、やせて症状がよくなることがあります。また、お休みになる時に頭を高くして寝ると逆流しにくくなりますので試してみてください。たばこは症状を悪化させる可能性がありますので控えた方がよいでしょう。
   この病気には大変良く効くお薬があります。しっかりとしたお薬を使えば、多くの方は飲み始めてから数日で症状が劇的に良くなります。また、食道の荒れを治す効果もありますので是非、かかりつけの先生にご相談ください。
   ただし、薬をやめてしまうと残念ながら多くの方が再発してしまいます。症状がとれたからといって安易にやめてしまうと半年の間に約90%の方が再発するというデータもあります。
   逆流性食道炎は近年大変増えている病気です。気になる方は消化器内科にご相談ください。