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健康・病気の知識

治る!治せる!心房細動

河野 恆輔
長野中央病院 
循環器内科

河野 恆輔
 動悸がする、めまいがする、脈が乱れる…こんな症状に悩まされる方はおられませんか。この症状の多くは不整脈―特に心房細動による事が多いのです。
 心房細動は、60歳以上であれば100人に4人くらいが罹患するありふれた疾患です。それよりも若い30、40代でも時になることがあります。はじめは、脈が飛ぶくらいだったのにそのうち動悸がして脈がみだれてしまった…、これは期外収縮から心房細動に移行する時の症状です。

心房細動による合併症―脳梗塞

 心房細動はありふれた疾患ですが、時に重大な合併症を引き起こし問題になります。
 一番怖いのは脳梗塞(脳塞栓)です。これは乱れてしまった心臓(心房)内で血の流れによどみが生じて、血栓ができてしまい起こるものです。
 心臓内の血栓は心臓の壁から離れて血液とともに流れていきます。そして脳の血管に詰まって脳梗塞を引き起こします。心房細動によって引き起こされる脳梗塞は、血栓が通常大きな血管を閉塞するため、ねたきりや命に関わる重大な障害につながる事があります。

脳梗塞を防ぐには

 脳梗塞を防ぐためには、ワーファリンというお薬を飲んでもらう事が必要です。これは唯一心房細動から脳梗塞を防ぐ効果のあるお薬で、このお薬のしっかりした内服でほぼ心房細動による塞栓症は抑制されます。
 ただ、食事制限―特に納豆が食べられない、青いお野菜は多く食べられない―があります。また、血のさらさら度のコントロールが微妙なため、来院時には血液検査を必ずしなくてはなりません。
 すべての心房細動の患者様がワーファリンを内服するわけではなく、高血圧、糖尿病、心不全の既往がある方、すでに脳梗塞を経験している方、高齢の方などはワーファリンの内服をした方がよいでしょう。
 また逆に高血圧や糖尿病、心臓病のコントロールを改善する事が、心房細動の発生や脳梗塞などの合併症を予防する事にもなります。

心房細動の治療法

通常観察
▲肺静脈周囲を線状に焼灼し、電気的に
 隔離します

 では心房細動そのものの治療はどうしたらよいでしょうか。
 一般的に慢性(常に)心房細動でも症状がなければ、その他の合併症がなければほっておいてもいいとされています。
 しかし、多くの患者様は動悸やめまいなどで、日常生活が阻害されます。そのため高血圧などの合併症の改善とともに、不整脈を改善するお薬を飲んでいただきます。不整脈を改善するお薬は種類も多く、患者様によって効く薬と効きが悪い薬があります。ですから数種類を試して症状が改善するものを継続して飲んでいただきます。
 しかしお薬でも症状が改善しない場合もあります。この場合は、患者様が望めばカテーテル治療(アブレーション)を試みる場合もあります。
 これは右足の付け根から心臓(左房)内に2oくらいのカテーテルを挿入し、肺静脈の周囲を線上に50度程度の熱を加えて、肺静脈と左房を電気的に遮断します。(図1)なぜなら心房細動の原因が、肺静脈からの頻回の不整脈によるものであることがわかっており、これを遮断する事によって心房細動の発生を抑制できるからです。
 当院ではすでに5年前から心房細動のカテーテル治療を行っており、発作性であれば9割方症状を改善する事ができます。また最近では慢性の方でもカテーテル治療によって、心房細動から通常の脈に戻る事もできるようになりました。
 症状が頻回で、通常の治療では満足いかない方、ドックで慢性心房細動といわれて不安な方などは、一度長野中央病院循環器内科へご相談ください。