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健康・病気の知識

誤嚥性肺炎について

   
長野中央病院内科 医師 杉本 州
   コロナウイルスが蔓延して、早1年が経過しました。肺での感染には、今まで以上に敏感になっていることと思います。現在、肺炎は日本人の死因第3位を占めるようになりました。特に高齢化が進む日本において、誤嚥性肺炎は社会的にも重要性を増しています。

なぜ起こるのか

   誤嚥性肺炎は、唾液や食べ物、胃液などと一緒に細菌を誤嚥することで生じます。高齢者や寝たきりとなった患者では咳反射が弱くなり嚥下機能が低下します。口腔内を清潔に保たないと口腔内で細菌が繁殖し、その細菌を誤嚥することで肺炎を発症します。

どんな症状が出るのか

   肺炎の典型的な症状は発熱、咳、膿のような痰たんなどが挙げられますが、誤嚥性肺炎ではなんとなく元気がない、食欲がない、喉がゴロゴロ鳴るなどの非典型的な症状が多くなってきます。

診断のための検査は何をするか

   嚥下機能の低下が確認されている患者において、胸部Ⅹ線写真や採血検査の結果で肺炎が確認されれば、誤嚥性肺炎を考えるきっかけになります。

治療はどんなことをするか

   肺炎自体は抗菌薬の投与が基本治療となりますが、老衰の経過として捉えれば解熱薬などで苦痛を緩和する事で凌ぐこともあります。また、再発防止策は重要で、口腔ケアの徹底、嚥下の指導などを考慮します。その他に、嚥下機能を悪くする内服薬の有無を確認し、逆に嚥下反射を改善する効果が確認されている薬剤の使用を検討することがあります。

予防をするために

   喫煙者では禁煙をする必要があります。介護者は、患者の食事の際に十分に上体を起こして、ゆっくり咀嚼し、嚥下するように指導することが大切です。肺炎球菌ワクチン・インフルエンザワクチン・コロナウイルスワクチンなど、各種ワクチンの接種をしておくことも重要です。

最後に

   誤嚥性肺炎は慢性的に反復する場合も多く、経過中に次第に嚥下の機能が廃用し、遂には口からの食事摂取を断念しなければならない場合もあります。胃瘻や点滴で栄養を補うか、あるいは老衰として看取っていくのか、難しい選択を迫られる場合も想定されます。お元気なうちに「人生会議」をしておくことも重要な点となります。困ったことがあればご相談ください。