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健康・病気の知識

足の血流障害に注意 8020運動をすすめましょう

□長野中央病院 救急部副部長 循環器内科 医師  三浦 英男


ウエストサイズより筋肉量に注目

   暖かくなり糖尿病や高血圧などで主治医から運動を勧められている人には、ウォーキングなどの運動をするのによい時期になりました。
   運動療法には1つに有酸素運動があり、内臓脂肪を燃焼させることが大きな目的ですが、もう1つ筋肉トレーニングも必要であることが最近注目されています。
   一昔前まではメタボリック症候群といって、ウエストサイズが男性85p、女性90p以上あると内臓脂肪過剰ということでダイエットするように指導されてきました。
   しかし、運動しない筋力低下したやせた人より、肥満でも日ごろから運動している人では、脳梗塞や心筋梗塞の発症が少ないことが報告され、筋力が低下した「サルコペニア」という状態が基礎代謝を悪化させ動脈硬化などの進行につながることがわかってきました。
   また、最近は「フレイル」といって足腰が弱って日常生活が困難になってきた人は、いろいろな疾患にかかりやすくなって死亡率も高くなることも報告されています。
   人間の体の中で筋肉量が一番多いのはふとももの筋肉で、筋肉量をふやすためには歩いたり自転車をこいだりすることが効果的といわれます。膝や腰を痛めている人は無理な運動で悪化させることもあるので、整形外科の先生と相談することが必要です。

下肢の血流低下に注意を

   60歳代ころから出てくる疾患に下肢の血管の動脈硬化があります。下肢の血流が低下すると歩行時にしびれや痛みが出てきて、放置すると安静時の痛みや最悪は下肢の切断にいたることもあります。
   高齢になると整形疾患でも下肢の痛みやしびれが出てくるので、動脈硬化疾患の合併が見逃されている場合が少なくありません。下肢の血流低下がある患者さんは、症状のあるなしにかかわらず脳梗塞や心筋梗塞などの疾患にかかりやすく、診断されてからの5年生存率は60%前後と大腸がんの生存率に匹敵するといわれています。
   下肢の血流は手足に血圧計を巻いて血圧差を測定する「PWV」という検査が当院でも外来で簡便にできます。歩いて足の調子が悪い人は年に1回は検査を受けましょう。
   治療には運動療法、薬物療法に加えて、より重症の人にはカテーテルによる血管形成術や血管外科によるバイパス手術などがあります。当院でも多くの患者さんの下肢のケアを行い、年々増加しています。
   「80歳まで自分の歯を20本残しましょう」という「8020運動」が日本歯科医師会で推奨されています。下肢の動脈硬化の研究会では「80歳まで2本足で杖をつかないで自分の足で歩きましょう」という「8020運動」キャンペーンを行っています。健康づくりのためのフットケアはとても大切です。お悩みの方はぜひ外来に相談しに来てください。