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健康・病気の知識

災害時における糖尿病医療のあり方

□長野中央病院 内科 医師 青木 由貴子

   2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生しました。私が以前、医療活動をしていた西東京地区は、大震災のリスクが極めて高い地域でした。直下型地震に見舞われたとき、糖尿病など慢性疾患医療が必要な患者さんはどうすべきかと、西東京臨床糖尿病研究会の「糖尿病災害対策委員会」が発足しました。
   その中で「糖尿病災害時サバイバルマニュアル 自分のことは自分で守れますか」という患者用マニュアルが完成しました。糖尿病患者さんだけではなく、一般の方にもぜひ災害に備えていただきたく抜粋してお話しします。

災害時に対する心構え

   大きな災害が起きたとき、地震や津波など災害そのものではなく、帰宅難民となって何日も家に帰れない事があります。避難所生活で肺炎になって亡くなる方もいます。
   とくに糖尿病や持病を持っている人にとっては、過酷な状況になります。そのため、3日間は自力で生き延びる準備をしておきましょう。

準備期 〜今からできること〜

   某診療所で、防災の備えの大切さを患者さんに知ってほしいと思いアンケートを実施したところ、通院患者さんの約50%が自分の薬の名前を言えず、80%が薬の備えをしていないことがわかりました。
   今からできることとして、緊急時の連絡先、かかりつけ医、緊急避難場所、薬の名前(飲み薬:可能な限り1文字でも2文字でも記憶にいれておく、インスリン注射:色または正式名称で)、自分の疾患名、コントロール状況などを把握しておくことが大切です。
   また、非常用持ち出し袋に、お薬手帳、糖尿病連携手帳、自己管理ノートなどとともに、飲み薬1週間分程度、インスリン注射1本程度を入れておくと安心です。携帯電話のカメラでそれぞれ撮影して、常に携帯しておくのもよいと思います。
   さらに帰宅難民対策として、歩いて帰ることができないところに出かけるときは、①飲み薬は最低1日分 ②インスリン注射薬を数種類使用している場合は各1本 ③ビスケットなど携帯できる食べ物を持ち歩くとよいでしょう。

超急性期 災害発生時〜3日間

   生き延びることが第一です。食事はとにかく摂り、準備した非常食を役立てましょう。水分補給を心がけてください。マニュアルには、糖尿病患者さんの場合は、けが・ショックなどのシックデイ対策や低血糖について記載されています。また、受診が必要なときのアドバイスも掲載されています。

急性期 4日〜1週目

   避難所などでは、食料供給が安定するまではバランスよりも量を優先して食事が提供されます。
   そのような状況では、@水分をしっかり摂る A食事の目安量を覚えておく Bゆっくり噛んで食べる C減塩を心がけることが大切です。マニュアルには、被災地でよく配給される食品と、食べるときのポイントが示されています。

亜急性期 1週間以上〜1か月

   できるだけ普段の生活を取り戻す1か月なので、可能な限り受診しましょう。
   以上の内容は抜粋です。興味がある方はNPO法人西東京臨床糖尿病研究会のホームページからダウンロードすることができます。またお声をかけていただければ配布致します。
   長野県でも東日本大震災翌日に栄村で大地震が発生しました。いつ起きてもおかしくない大震災。あらためて災害時における糖尿病をはじめとした医療の在り方を考え、将来に起きうる災害の備えの一助としていただければと思います。