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健康・病気の知識

糖尿病と治療

□長野中央病院 内科医師  中山 一孝

糖尿病とは

   私たちが日常生活に必要なエネルギーを得る上で、重要な栄養素のひとつが糖分です。本来、体の恒常性を維持するホルモンの働きで厳密に調整されている血液中のブドウ糖(血糖)が、正常を超えて高い状況が続き、さまざまな不都合を生じてくるのが、糖尿病という病気です。

注意すべきは合併症

   糖尿病を長く放置すると、時に失明に至る眼の病気(網膜症)や透析療法が必要な末期の腎不全(糖尿病性腎症)、免疫力の低下による手足の壊疽、動脈硬化の進行による心筋梗塞や脳梗塞などの深刻な合併症を招きます。
   強い口渇感(のどのかわき)や体重減少、全身のだるさなどが診断のきっかけとなる場合もありますが、健康診断を受けずに、まったくの無症状のまま病気が発見されず進行してしまうことも少なくありません。早期発見・治療が何よりも大切な点は、他の多くの病気と同様です。

糖尿病の病型と治療

   お腹のちょうど真中にある膵臓は、インスリンというホルモンを分泌し24時間休まずに血糖値を見張っていますが、過食・肥満やストレス、飲酒や喫煙などの嗜好、その他さまざまな生活習慣の悪化に起因して、このインスリン分泌の反応速度や感受性が低下し、血糖値の上昇をきたすのが2型糖尿病です。糖尿病患者さんの多くはこの病型に該当します。
   2型糖尿病は、食事・運動療法を基本に、膵臓からのインスリンの分泌をうながす薬やインスリンの効きづらい体質を改善する薬、消化管からの糖質の吸収を抑える薬など、さまざまな薬を組み合わせた治療が行われます。
   一方で、膵臓からのインスリンの分泌が極端に低下ないしは廃絶してしまうのが、1型の糖尿病です。1型の患者さんはインスリン注射による治療が必要です。

『糖尿病は完治する?』

   糖尿病が長年経過すると、たとえ2型であっても自分の膵臓からのインスリン分泌能が低下し、注射が必要となる場合があります。
   ここ数年、新しく開発された「インクレチン関連製剤」は、膵臓から分泌される自分自身のインスリンを節約し膵臓を長持ちさせる効果が期待されています。マスコミでも取り上げられ注目を集めましたが、いわゆる疑似科学番組や健康バラエティー等でその効果が過度に誇張され、多くの患者さんや医療現場に混乱をもたらしました。
   病初期に適切な指導と治療を受ければ、食事療法やわずかなお薬で健常に近い血糖コントロールをめざすことも可能ですが、やはり定期的な評価と治療の調節をこまめに行う必要があります。自分で勝手にためして早合点せずに、治療の上でご心配な点は専門の医師にご相談ください。