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健康・病気の知識

下肢静脈瘤の治療法について

外川 正海
長野中央病院・
心臓血管外科 医師

外川 正海
 「下肢静脈瘤」。
あまり馴染みのない病名かもしれません。
しかし、実際にこの病気に悩まされている方は
意外に少なくないのではないでしょうか?
 「昔から足の血管が所々腫れたように浮き出ているが、
痛くも痒くもないし…」、
それは下肢静脈瘤かもしれません。

下肢静脈瘤とは

図1
 下肢静脈瘤とは文字通り、下肢の静脈の一部が拡張し瘤のようになる病気です(写真)。これは下肢の静脈の中で血液の流れが滞ることで起こります。静脈の中には心臓へと向かって戻ってゆく血液が流れており、下肢の静脈では重力に逆らって流れなければいけません。
 このために、静脈には「静脈弁」という構造物が付いています(図1)。これは、一度上へと流れた血液が下がってくるのを防ぐ働きがあります。これが壊れてしまうと、そこで血液の渋滞(うっ滞)が起こり、静脈が拡張します。
 毎日長時間の立ち仕事をされる方や妊婦さんなど、足に血液がうっ滞しやすい方がこの病気になりやすいと言われています。また、遺伝的になりやすい方もいらっしゃいます。

症状

 静脈瘤は基本的に無症状です。動脈瘤の場合は破裂して出血することが問題となりますが、静脈瘤はほとんど破裂することはありません。
 しかし、長い時間をかけて下肢の倦怠感(だるさ)、浮腫(むくみ)、痒みや感覚異常、場合によっては痛みや腫れ、皮膚のただれや変色、潰瘍形成(ジュクジュクした傷ができる)が出現することもあり、その場合は治療が必要です。
 また、無症状の場合でも「静脈瘤が目立ってスカートがはけない」などの美容上の問題から、治療を行うケースもあります。

治療方法

療は「保存療法」と「手術療法」の2つに分けられます。
〔保存療法〕
 保存療法とは症状の緩和を目的とした治療で、中心は「弾性ストッキングの着用」になります。弾性ストッキングとは、通常女性が着用するストッキングに比べて締め付けが強いストッキングやハイソックスのことです。これを着用することで下肢に血液がうっ滞することを防ぎます。
 症状の軽い方であればこれで充分良くなりますが、残念ながらこの方法では静脈瘤自体を治すことはできません。症状の重い方の場合は、やはり手術療法を選択せざるを得ません。
〔手術療法〕
 手術にはいくつかの方法があります。
@ストリッピング手術
 異常をきたしている静脈全体を静脈瘤ごと取り除く手術です。再発の少ない治療ですが、通常2〜3日間の入院を要します。
A硬化療法
 静脈瘤に「硬化剤」と呼ばれる薬を注入し、潰してしまう治療です。入院の必要はなく外来でも施行可能ですが、再発することがあります。
Bレーザー治療
 静脈に細い管を通し、そこからレーザーを照射し静脈瘤を潰します。入院の必要もなく、再発も少ないと言われていますが、安全性などは未だ不透明です。治療も保険が適応されません。

 当院では、患者さんの症状に合わせて、なるべく身体への負担が少なくてすむような治療方法を選択しています。たとえば、ストリッピング手術は範囲をなるべく小さくして行い、これに硬化療法を併用しています。これにより重症の静脈瘤の方でも、比較的少ない傷と痛みで治せるようになりました。

 以上が下肢静脈瘤という病気の概要です。お悩みの方、お心あたりの方は一度心臓血管外科外来にご相談ください。